第5回
スタビライゼーションって一体どのようなトレーニング??

今回は練習で時々取り入れている、そしてリハビリ等でよく行われているスタビラーゼーションについて取り上げ説明していきたいと思います。ただ単に動作を行うのではなく、なぜ行うのか、何に効果があるのか等知っておくことは様々ありますので、まずは概論ということで大雑把にスタビライゼーションについて話していきたいと思います。

◎スタビラーゼーションとは??

 動作中の頭や体幹、四肢の位置や状態を素早く把握して、神経と筋肉の協調性機能で姿勢や動作を調節し、バランスをうまく維持・回復する能力を養うエクササイズ法です。
 ウエイトトレーニングは大きな動作を支える主動筋群、つまり大筋群の強化を目的としていますが、ウエイトトレーニングでは筋肉を表面的にしか鍛える事ができません。スタビライゼーションとは神経と筋肉の協調性(神経筋協調性)を促進する刺激を与えるトレーニングであり、一つの動作で同時に様々な筋肉を動員すること、スポーツ動作を向上させる筋肉の深部にある細かな筋線維までが動員されることで神経筋協調性が高まります。

◎スタビライゼーションの特色

・トレーニング器具に頼らない
 自分の体重を負荷として一定の姿勢や動作を「意識的」にコントロールすることを目的としています。

・安全性が高い
 頑張りすぎることも逆効果であることを理解することが必要です。

◎スタビライゼーションの種類
スタビライゼーションには大きく分けて4つのエクササイズ群があります。

■スタティスティック・スタビライゼーション
→「静的」なエクササイズです。普段メニューに取り入れている大半のものがこれです。基本姿勢であるスタートポジションから始めて一定のポーズで静止するエクササイズの総称です。

■ダイナミック・スタビライゼーション
→スタートポジションから一定のスピードで動作を反復するエクササイズの総称です。

■バリスティック・スタビライゼーション
→反動や弾みをつけることによって、動作づくりや動的な関節可動域を広げる目的を持ったエクササイズの総称です。
(ブラジル体操のいくつかの種目ではこれが取り入れられています。)

■レジスティブ・スタビライゼーション
→パートナーが抵抗を与えるエクササイズの総称です。

◎スタビライゼーションの効果

■関節支持力の向上
スタビライゼーションは様々な体位で支持基底面をつくることで、からだの各部位において主働筋・拮抗筋のバランスを向上させ、身体の支持力すなわち関節支持力を高めるという効果を発揮します。

■関節可動性の向上

■関節可動域の拡大

■動的柔軟性の向上

■重心や軸の把握と安定性の向上

■バランス能力の向上

■姿勢反射を活かす
→姿勢を維持しようとする無意識のコントロールを姿勢反射といいます。この話は専門的で少し難しいので省略したいと思います。簡単に言うとスタビラーゼーションを行うことによって神経と筋の協調性が向上することで様々な姿勢を調節したり、安定させたりしようとする無意識のコントロールがよりよく働くということです。

◎スタビラーゼーションの留意点

■コンセントレーション(Concentration)
集中して実践すること、すなわち姿勢や動作のポイントを十分に理解して実施すること

■センタリング(Centering)
姿勢や動作の重心は軸を把握し中心点や重心線・体軸を見出すこと、すなわち素早くバランスを認知すること

■コントロール(Control)
微妙なバランスを制御すること、すなわち姿勢や動作を支持する力を調節すること

・姿勢保持や動作は正確に行う

・呼吸は自然に行う

・動作の速度や耐える時間を競うものではない

・崩れたバランスを危険な状態までムリして保つ必要は無い

以上の留意点をしっかり守って行うようにしてください。

今回はこの辺りで終わります。また具体的なスタビライゼーションの種類についてはここで載せることはできませんので何か知りたいことがあれば直接聞いてきてください。練習で取り入れている時に何度も言っていますが、姿勢をきちんとしないと意味はありません。またいつもいっている動作でも姿勢を少し変えるだけでも違うトレーニングを行うことができたりします。自分で試すのもありですしとにかく自分の身体と対話することを心がけて行ってみてください